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デザイン思考:MFAの2つのポイントと4つの教えを紹介【キャサリンベルインタビュー記事】


以下は、April 14, 2008に発表されたThe MFA Is the New MBA についてのキャサリンベルへのインタビューの備忘録として個人的に和訳したものです。※できる限り原文に近く訳そうとはしていますが、訳が間違っている箇所もあるかもしれません。ご了承ください。 英語原文https://hbr.org/podcast/2008/05/harvard-business-ideacast-92-tを参照ください。 ポール・ミカルマン:こんにちは、ポール・ミカルマンです。今日はキャサリン・ベルに来ていただいています。キャサリンはハーバードビジネスデジタルの上級編集者で、今回の話のタイトルにもある「The MFA is the New MBA」のブログを書いた著者でもあります。キャサリン、今日はありがとう。

キャサリン・ベル:お招きいただきありがとうございます。

ポール・ミヒャルマン:どういたしまして。キャサリン、私たちは長年にわたって、特に最近では、いわゆる右脳性の思想家が組織にもたらす価値について多くのことを聞いてきました。彼らは、従来のビジネス思考に制約されない非常に創造的な人々で、多くの場合、企業の革新的取り組みにおいて非常に成果を出された方々です。しかし、あなたのブログの投稿は、このアイデアをさらに一歩前進させています。修士号を取得する学生のMFA (Master of Fine Art/美術学修士) で行われる講座は、実際にはとても優れたビジネス講座であることを示唆しています。まずは、この「The MFA is the New MBA」の考えについてご説明ください。また、この考えはどこから来たのかも合わせて教えてください。

キャサリン・ベル:数年前、私はインターネット会社のマネージャーの仕事を辞め、アイオワに移り、小説執筆のMFAを取得しました。そのほぼ4年は、執筆とティーチング、一冊の小説を完成させることに費やしました。その後、仕事に復帰したとき、自分自身が以前よりも優れたマネージャーになっていることに気づき、驚きました。私は前職でマネージャーの資質を磨くため、多くの時間を費やしてきたにもかかわらずです。フィクションを書いたり、フィクションを教えることで、教えられたのは、まさにこれから話す2つのことだと思います。ひとつは説得です。読者が完全に信じてしまうような想像上の世界を創造できれば、ビジネスの世界において必要とされる大抵の説得ができるようになります。PowerPointプレゼンテーションは、その力には勝りません。また、小説家が行う最も重要なことは、読み手をキャラクターの視点に立たせることです。それは共感を抱かせる大事な作業であり、ビジネスにおいて極めて重要なことです。常に直属の部下、上司、同僚、そして重要な顧客の観点から物事を考える必要があるからです。

ポール・ミカルマン:どうもありがとう。非常に重要な2つの特徴を挙げていただきました。説得、または説得する能力、そして共感を得ること。どのマネージャーにとっても、これらは明らかに重要です。あなたのブログの投稿には、MBAがMFAから学ぶことができるだろう非常に具体的な4つの教えが書かれています。それでは、そちらについて話を進めましょう。 1つ目は、批評の受け止め方です。

キャサリン・ベル:そうですね。これは、ライティングワークショップに参加することで、短時間で学ぶことができます。ワークショップは、通常の授業とは大きく異なります。これは、アートスクールや建築学校で行っているものによく似ています。どういうワークショップかというと、生徒は書いてきた原稿の一部を提出し、クラスメイトと教授は事前に目を通します。そうした上で、対象となる生徒の前でその原稿について議論します。なので、初めてそのワークショップのプロセスを通して行う人はかなり怖く、緊張する状況にあるでしょう。どういうことかというと、あなたはクリエイティブな制作に向き合っていると、どんどんあなたに近づいて行きますよね。そして、あなたの内側から来た何か、また、あなたが創造したものから来た何かを前に出しているとき、あなたは最ももろい、隙だらけの状態にさらされることになるのです。そして、あなたは、まだ終わりでないことを知るの。まだまだ欠陥があることを知るのです。

作家ワークショップの素晴らしさは、皆が扱っているものは、発展の余地があることを理解させ、グループとして、目の前の創造的な草稿を共同作業でより良くしようとする期待感を前に押し出し、それらをうまくまとめ上げる指導者の力にあります。因みに私の担当教授の名前はフランク・コンロイでした。彼は長年アイオワの作家ワークショップのディレクターを務めていました。彼は本当にすばらしい教授でした。彼は非常に鋭い批評家だったので、多くの人からとても恐れられていましたが、私が目にしたのは、彼が設定した非常に明確な期待感でした。最初に彼はこう言います。「もしあなたが素晴らしい作家だと思わないなら、誰もここにいないでしょう。しかし、作家の全てがこれまで悪い文章を何度も書いてきた。」そして、F.スコット・フィッツジェラルドが二日酔いの後に書いた、いい加減な文章の例を挙げました。しかし、教授は彼なりの見解で捉えます。彼はそのページに何が書かれていたのかを見ますが、それは一度として主観的な見方はしません。その見方は常に作品についてでした。それを理解したことで、私は、批評を受けることへの抵抗は、ほとんどなくなりました。

もう一つは、ある意味、人々が理解し、実際に耳を傾けられるような批評を学ぶことの必要性でした。そして、それはビジネスの世界においても非常に価値のある技術です。そして、私がこれまでの仕事の多くで感じたこと、分かっていることは、人は批評を受けることについて非常にデリケートになりがちだということです。MFAプログラムを学んだ結果、仕事において、自分自身がこれまでと異なる姿勢をとっていることを実感しています。私は本当に批評を求めています。私は批評されるのが大好きです。私は批評が私の仕事をより良くすることを知っているからです。そして、私はそれを個人的なものとして捉えません。

ポール・ミハルマン:私には、批評を行うこと、されるための環境が非常に重要であると言っているように聞こえました。あなたが批評を行うとき、教授のようにあなたが優秀だという前提で、誰もがさらに改善できる環境を作る必要があると。そして、あなたはその環境の中で同様にフィードバックを受けとるということですね? キャサリン・ベル:全くその通りです。そのほか、ビジネス環境にどう当てはまるかを考える上で役立つのは、アドバイスの仕方です。私たちのアドバイスは、こうしなければならないという規範的なアドバイスにならないよう努めていました。だから、私たちは読者として作品に対峙し、私がどう作品に反応しているかを意見します。つまり、ここが私がよく分からないところです。ここが私にこう言う反応をさせているところです。ここが何が起こっているのか分からない場所、もしくは、登場人物のことがよく理解できないところです。と。。。そして、作品の産みの親である作家に、その解決策を考えさせるのです。マネージャーとして本当に役に立つのは、従業員に返答を考え出させるためのアドバイスを与えることだと思います。フィードバックを提供し、彼らが解決策を提供する。

ポール・ミハルマン:素晴らしい。それゆえ、ブログ記事で 2 つ目のポイントは、何が人々のやる気を起こさせることについてMBA にはMFA から学ぶ点が多くがあると。

キャサリン・ベル:そうです。この件にについては私が主張する共感に話を戻します。他人の視点から物事を考えられるということは本当に重要です。だからこそ、フィクションはビジネスパーソンとして生きていくのにとても役に立つ世界だと思うのです。なぜなら、作者、そして読者が行うことの本質は、人を理解しようとすることだからです。そして、それが正に経営のすべて。そして、顧客サービスの全て。そして、製品づくりのすべてです。ですので、一日中椅子に座って一人で小説を書いていた自分がオフィスに戻り、仕事の世界に復帰した時、それまでずっと一人で時間を過ごしてきたにもかかわらず、自分のマネジメントスキルは弱まるどころか、実際には前よりはるかに強化されていたことに本当に驚きました。その理由の一つは、例えば、小説を書いていた時、人を管理することを何度もやっていたからだと思います。彼らは架空の人物でしたが、私は彼らを管理していました。

作家はいつも、特に小説を書く際、登場人物がまさに現実の人々の様に生を成すポイントがあると言います。それは人間の驚くべき能力で、数ある人の特徴を登場人物に与えると、彼らに命が吹き込まれる。そして、それがフィクションの良し悪し、映画の良し悪しの差です。いったん登場人物に命が吹き込まれると、たとえ小説家であっても、あなたはその登場人物を支配する神にはなれません。その登場人物は物事を拒否し、あなたが驚くことや期待していないことをしでかすかもしれません。そして、時にはそれは非常に厄介なことが起こるかもしれません。しかし、彼らが次に何をするのかを予測するため、彼らが何をしているのかを考える必要があります。そして、それは顧客と従業員の両方を理解するのにとても役立つと考えています。

ポール・ミカルマン:では、MFA のレッスン 3 は、視聴者を引き付ける方法についてお願いします。

キャサリン・ベル:これは、特に今日の世界に本当に関連しているだろう、もう一つの事柄です。消費者は今、経験を望んでいます。彼らは関わりたいと思っている。彼らは自分のアイデンティティを自分が選択している製品と一致させたいと思っています。彼らは深く関わりを持ちたいと思っている。そして、現実的な双方向の会話を生み出す方法を知ることが、とても重要だと思います。

繰り返しになりますが、作家は読者と交わることはないので、作家の立ち位置というのは、良いたとえになるでしょう。目の前は、まるで一方通行の通りです。作家が書いている通り、読者が消費している通り、それらは行ったり来たりしません。これはあなたがビジネスと顧客が結構離れた存在にあると思うことと同じです。そして、ビジネスは、顧客が消費する何かを創りだしています。けれど、実は、想像力を働かせてみると、ビジネスは行ったり来たりを繰り返しています。そして、人々が製品を消費する流れ、製品を想像し、ブランドを想像し、それに貢献する流れについても、まさに同じことが当てはまると私は考えています。

ポール・ミカルマン:OK。3つ目のポイント。MFAは、観衆を引き付ける方法について多くのことを教えてくれるについて。

キャサリン・ベル:小説や物語の世界を作り出す構想段階において、作家がかなり早い段階で学ぶことの一つは、読者はとても積極的な参加者であるということです。読者は関わりたいと思っている。そして、これは、多くの人々が経験経済と呼ぶ、消費者が単に製品を手渡されることを望まない経済であり、今日の経済においても非常に重要なことです。消費者は実際にその製品のすべてを経験したいと思っています。時には特注品に関して、製品づくりに関わりたいと考えています。また、対企業、そして、対ブランドのアイデアに関しても話す機会を求めています。私は、今、これまでになく、このことの理解を深めることが、とても重要なことだと思っています。

ポール・ミハルマン:わかりました。この点について少し気になりました。参考までにそれをうまくやっていると考える企業はありますか?

キャサリン・ベル:現時点では多くの企業が、製品開発に関してアイデア探しの初期段階から直接的に顧客を関与させているように思います。まさにデルは、オンライン上のIdeaStormでそれらを行い、実際に顧客からアイデアを募り、時には製品を作る企業です。

ポール・ミカルマン:なるほど。では、あなたの最後のポイント、そして私のお気に入りは、MFAは多くのことを教えてくれる、特に小説家は非常に良いアイデアなんだけど、それを手放す方法やタイミングについてその駆け引きを教えてくれるという点です。

キャサリン・ベル:これはまさに校正について言えることです。作家は、校正については絶対的に情け容赦をしないということを学ぶ必要があります。重要なのは、作業中の部分やそうでない部分を取り除くことだけではないということです。例えば、時には、本当に良いアイデア、本当に美しいフレーズがあります。そして、開発中の製品に関して恋に落ちるような、手放したくないと思えるほど素晴らしい機能があります。それらはとても良いアイデアかもしれない。そして、それが合わないケースを知る必要もあります。時には、ただ単にその時取り組んでいる個所にマッチしないこともあります。そして、頭を悩ませます。それは、そのアイデアを超える良いアイデアが出ていないことを言わんとしています。

そして、一つ、私が書いていて痛感したことは、私が何かに固執しているようなとき、それが何か難しいことに固執していると気づいたらすぐに、手放す必要性があると知ったことです。そして、こういった場合、そのアイデアを永久に手放すことは本当に心苦しいものです。さらに、それが良いアイデアときたらなおさら。だから、そこで重要になるのは、永久にそれを削除することを考えるのではなく、むしろそれをカット&ペーストするという考え方です。ですので、今回の製品では、不採用かもしれません。が、別のイテレーションか製品で生かされるか、それとも完全に変更し、将来的に別のアイデアになる可能性だってあります。けれど、あなたのアイデアを完全に削除することはありません。ただ、別の場所に保存し、将来的にそのアイデアが使えれば良いのです。

ポール・ミカルマン:OK、キャサリン・ベル、どうもありがとうございました。キャサリンのアイデアの詳細を読み、どうMFA が新しい MBA であるのかについての議論に参加するには、harvardbusiness.orgの会話スターターブログを参照してください。

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